システム特許とは? 実例や他の特許との違いを解説します



システム特許とは、「複数の要素が関係し合って機能する状態」を特許出願したもののことを指します。組み合わされるのは、複数のソフトウェアプログラム、もしくは、ソフトウェアプログラムとハードウェアが組み合わされることもあります。


コンピューターソフトウェアプログラムに関する特許は、新しい分野であることから、難しく感じられる方も多いことでしょう。また、システム特許やソフトウェア特許、ビジネスモデル特許など似たような呼び方がいくつかあるため、違いがわかりづらいかもしれません。


ここでは、「システム特許」に絞って取り上げ、ソフトウェア特許やビジネスモデル特許との違いや、実際のシステム特許の例などを挙げながら、具体的に掘り下げていきます。



システム特許とは?


システム特許は、特許法に記載されている用語ではありませんが、特許出願時に提出する書類上では、「~システム」といった名称をつけて手続を行います。


ソフトウェア特許やビジネスモデル特許との違いは?


よくシステム特許と比べられたり、比べられたりする特許に、「ソフトウェア特許」と「ビジネスモデル特許」があります。これらとシステム特許との違いはどのようなところにあるのでしょうか。


まず「ソフトウェア特許」は、プログラムに関する発明のみを対象とした特許のことを指します。システム特許は必ずしもソフトウェアに限らないため、この点で異なります。


「ビジネスモデル特許」は、あるビジネスモデルを実現するために発明した、新たなソフトウェア技術などを対象とした特許のことを指します。こちらはハードウェアを含む場合もあり、システム特許の一部ということができます。


ビジネスモデル特許についての詳細や、取得にかかる期間や費用などはこちらの記事をごらんください。




システム特許は「物の発明」に分類される


日本における特許は、特許法において以下の3つに分類されます。

  • 物の発明

  • 方法の発明

  • 物を生産する方法の発明

システム特許は、このうち「物の発明」に分類されます。これは、ソフトウェア特許、ビジネスモデル特許も同様です。


このことは、コンピュータソフトウエア関連発明に係る審査基準に記載されています。


「方式」又は「システム」(例:電話方式)は、「物」のカテゴリーを意味する用語として扱う。


出典:特許・実用新案審査基準 第II部 明細書及び特許請求の範囲 第2章 特許請求の範囲の記載要件 第3節 明確性要件(特許法第36条第6項第2号)|特許庁




システム特許の実例・具体例


ここからは、具体例を交えてシステム特許をわかりやすく見ていきましょう。


すでに説明した通り、システム特許は「複数の要素が関係し合って機能する状態」を特許出願したものであり、必ずしもソフトウェアである必要はありません。


▼監視カメラとソフトウェアプログラムを組み合わせた例

出典:異常者予知システム、異常者予知方法、およびプログラム|特許方法プラットフォーム


例えば、この特許では、 所定の領域内の監視対象者が異常者であるかを予知するために、対象者を撮影するカメラ(ハードウェア)と、 行動パターンを記憶するプログラム(ソフトウェア)、 記憶した行動パターンに基づいて、異常者を予知するプログラム(ソフトウェア)の3つの要素を組み合わせています。



▼サーバー・ユーザー端末・ソフトウェアプログラムを組み合わせた例

出典:金融商品ポートフォリオ取引システム|特許方法プラットフォーム


こちらの特許では、データポートフォリオを管理するデータベース(ソフトウェア)と、そのポートフォリオを提示するサーバー(ハードウェア)、任意のポートフォリオを選択するユーザー端末(ハードウェア)を組み合わせることで、株式の発注に必要な指示信号を自動生成するシステムを実現しています。


このように、コンピューターソフトウェアだけでなく、カメラやサーバー、電子回路などのハードウェアも一緒に、ひとつの特許として出願できるのが「システム特許」の特徴です。




システム特許に関する注意点

システム特許は、ハードウェアとソフトウェアが複雑に絡み合うことから、他の特許と異なる注意点がいくつかあります。ここでは、そのうちのいくつかを紹介しましょう。


技術の「組み合わせ」に新規性・進歩性があることが必要

システム特許が認められるためには、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ方に新規性や進歩性が必要です。そのため、ソフトウェアを介さない店舗でのサービス方法や、ゲームなどのルールは認められない可能性が高くなります。


例えば、カメラ(ハードウェア)から取り込んだ情報を、コンピュータープログラム(ソフトウェア)で処理するといったありふれた組み合わせでは、システム特許としての新規性・進歩性は認められにくいでしょう。


一方で、カメラから取り込んだ情報を、コンピュータープログラムで処理した結果に応じて、ユーザー端末(ハードウェア)に変化が生じ、そこに新規性・進歩性があればシステム特許の対象になるはずです。



システム特許の侵害は立証が難しい


システム特許は、複数の要素が関係し合って機能している状態に対する特許のため、どれかひとつが欠けても侵害を立証できない場合があります。しかし、同じ人や企業がすべてを模倣することは稀でしょう。


例えば、先ほど紹介した、データベースとサーバー、ユーザー端末を組み合わせたシステム特許の場合、ユーザー端末に大きな違いがあるだけで、システム特許の侵害をしていないと判断される可能性が高くなります。


また、利用しているデータサーバーが国外にあると、日本の特許の効力は及ばなくなります。システム特許だけで権利を守れないケースは少なくありません。



システム特許以外の特許出願も検討しよう


システム特許を出願する場合、システムを構成する各ソフトウェアやハードウェアについての特許出願も検討するとよいでしょう。


システム特許の侵害は立証が難しいことを説明しましたが、ソフトウェアとハードウェアをそれぞれ特許で保護できれば、侵害される可能性は低くなります。システム特許だけにこだわらず、柔軟に検討するとよいでしょう。



まとめ


ここまで、実例を交えてシステム特許について紹介するとともに、他の特許とは異なる、システム特許に特有の注意点を解説してきました。


システム特許は、他の発明と比べて検討項目が多くなる傾向があります。また、実際には各要素の特許を取得することが重要で、システム特許を出願する必要まではないケースもありえます。


これらのことをすべて理解して、システム特許の出願を行うには、深い理解と確かな知識が必要です。システム特許の出願に関しては、弁理士に相談をし、検討を重ねることをおすすめします。



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