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【意匠調査】意匠権の検索方法を解説|米国・中国・欧州など海外のデータベースも紹介

更新日:2023年7月3日



新たな工業製品や建築物のデザインを発明し、意匠登録をしようとするとき、類似の意匠が既に登録されていないかを事前に検索する必要があります。これを、「先行意匠調査」といいます。


そのとき、データベースを使って、登録済みの意匠の検索を行うのですが、実は、先行意匠調査以外にも、登録済みの意匠を検索することがあります。


ここでは、意匠を検索する理由と、意匠を検索する方法を詳しく紹介しましょう。



意匠を検索する理由とは

既に登録されている意匠の検索は、工業製品などのデザインを新たに意匠登録したいと考えているときに行うことがほとんどです。


しかし、他の目的でも、意匠の検索が行われることがあります。


【意匠を検索する主な理由】

  1. 先行意匠調査

  2. 侵害防止調査

  3. 無効資料調査

ひとつずつ、詳しくみていきましょう。


1.先行意匠調査

先行意匠調査とは、既に登録されている意匠を検索してみつける調査のことです。自身の考えた工業製品や建築物のデザインを意匠登録しようとするときに行います。


なぜ、意匠調査を行うかというと、類似のデザインが既に登録されている場合、自身の考えたデザインの意匠登録ができないためです。


先行意匠調査は、大変重要かつ繊細な調査です。このページの後半で紹介するデータベースを使い、自身で調べることもできますが、経験豊富な特許事務所に調査を依頼したほうが確実性は増します。



2.侵害防止調査

侵害防止調査は、自身が考えたデザインが、既に登録されている意匠と類似していないかを確認する調査です。既に登録されている意匠を無断で使ってしまうと、意匠権の侵害になるため、これを未然に防ぐために行われます。


侵害防止調査も、先行意匠調査同様、大変重要な調査です。製品化した後に、意匠権の侵害で訴訟を起こされてしまう可能性もありますから、特許事務所への調査依頼をおすすめします。


なお、日本国内だけでなく、海外での商品展開も考えている場合は、海外のデータベースを使った調査も必要です。審査する国によって意匠の類否判断に若干の差があるため、海外の意匠権に関する調査も、特許事務所への依頼をおすすめします。



3.無効資料調査

無効資料調査とは、他社から意匠侵害の警告を受けてしまったり、訴えられてしまったりした場合に、その警告や訴えを退ける(無効化)ために行う調査のことです。


一般的に、警告や訴訟を起こした相手が主張している意匠権よりも古い資料(先行資料)を探し、その意匠権を否定できる可能性を模索します。


自ら積極的に行う調査ではありませんが、こうした調査の方法があることを知っておくと万が一の場合も焦らずに済みます。なお、無効資料調査も専門性が高いため、特許事務所への依頼をおすすめします。



インターネットで意匠を検索する方法

意匠をインターネットで検索する場合、大きく2つの方法があります。それぞれ詳しく紹介します。


検索方法1:特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を使う

自身で意匠の検索を行う場合は、独立行政法人 工業所有権情報・研修館(INPIT)の特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)が利用できます。


「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」は、特許庁が公開しているデータベースで、登録されている意匠権の情報を確認できます。



①J-PlatPat:簡易検索

特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)には、大きく2つの検索方法があります。簡単なほうの「簡易検索」は、物品名を打ち込んで検索ボタンを押すだけの、シンプルな方法です。


簡易検索をする場合は、物品名を入力した上で、「意匠」の項目にチェックを入れてから検索ボタンをクリックします。ここでは、「カッターナイフ」を検索してみます。


【簡易検索画面1】


検索ボタンをクリックすると、検索結果画面が表示されます。画像が大きく表示されるので、どのようなカッターナイフの意匠が登録されているかを順番にみていくことができます。


【簡易検索画面2】

ここで表示された検索結果を、さらに「出願年別」や「分類別」で絞り込むこともできます。必要に応じて活用しましょう。




②J-PlatPat:詳細検索

特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」では、意匠権を保有している個人名や組織・企業名、登録番号からも検索ができます。これを詳細検索と呼びます。


詳細検索画面へは、J-PlatPatトップページの上部にあるメニューバーの「意匠」にカーソルを合わせ、現れたメニュー内の「意匠検索」をクリックすることで移動します。


【詳細検索画面1】


意匠検索をクリックすると、以下の詳細検索画面に移動します。ここで、検索項目欄の右側にある「∨」をクリックすると、さまざまな検索方法を選択できます。


【詳細検索画面2】


【詳細検索画面3】

これを変更することで、創作者や出願人の名前や、「Dターム」と呼ばれる検索用の記号で検索できます。調べたい意匠のDタームがわかっていれば、ここから検索するのがもっともスムーズです。


検索結果画面は、以下のように詳細表示されます。




検索方法2:Graphic Image Parkを使う

Graphic Image Parkは、画像による意匠の検索ができるプラットフォームです。こちらのデータベースも、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)と同じく、独立行政法人 工業所有権情報・研修館(INPIT)が運営しています。


意匠についての専門知識がない方でも、検索したい意匠の画像が用意できれば、簡単に検索できます。検索結果は、入力した画像により似ているものから順番に表示される仕組みです。


検索の際は、任意の画像をファイルから選択して入力した後、出願日や登録日、キーワードなどでフィルターをかけた検索をすることもできます。


ただし、検索の精度は特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)のほうが高いため、併用されることがほとんどです。


海外の意匠検索ができるデータベース

商品の海外展開を考えている場合、国外の意匠調査も必要です。ここからは、日本以外の国の意匠権が検索できるデータベースをご紹介します。


▼ハーグ制度による国際出願が行われている意匠のデータベース

Global Design Database


国際的に意匠の出願・登録を一元化する「ハーグ協定」に基づき登録が行われた意匠の検索ができるシステムです。国際登録意匠に加え、日本、米国、カナダ、ニュージーランド、スペイン、インドネシアなどの意匠が検索できます。なお、2022年2月からは中国もハーグ協定に加盟しました。


▼米国のデータベース

米国特許庁(Patft)


米国特許庁が運営するデータベースです。日本と同様、簡易検索と詳細検索が可能で、登録番号による検索もできます。検索は英語のみとなっています。


▼欧州のデータベース

欧州連合知的財産庁(EUIPO)


欧州連合知的財産庁が運営する、ヨーロッパの知的財産権を検索できるデータベースです。こちらも、簡易検索と詳細検索に対応しています。英語での検索が基本ですが、画像検索も可能です。


▼韓国のデータベース

韓国特許庁(KIPRIS)


韓国特許庁が保有している知的財産権関連情報のデータベースです。韓国語と英語での検索が可能です。こちらも、簡易検索、詳細検索の両方に対応しています。


▼中国のデータベース

CNIPR(日本語版)

中国意匠の調査において、日本企業がもっとも活用していると思われるデータベースです。


全文検索や、絞り込み検索のほか、複雑なロジック検索と、その検索式の保存などが可能で、動作も安定しています。日本語版が用意されているため、比較的使いやすいでしょう。


SooPat

個人運営のデータベースです。意匠調査に使える中国のデータベースは複数ありますが、日本からのアクセスでは動作が重いものもあります。そんな中、SooPatは動作が高速で、複雑な検索でなければもっとも使いやすいとされています。


簡易検索、詳細検索の両方が可能で、利用できる言語は中国語のみです。



まとめ

意匠を検索する理由と、検索の方法を詳しくみてきました。


意匠登録を検討する場合は、早い段階で先行意匠調査を行うことをおすすめします。なぜなら、準備を進めてしまって後で、既に類似の意匠が登録されていたことがわかると、準備に費やした時間が無駄になってしまうからです。さらに、他人の意匠権を侵害してしまうこともあり得ます。


先行意匠調査は、プロである特許事務所への依頼が合理的です。経験豊富な特許事務所に依頼をすることで、意匠登録へ向けた準備を効率的に進められるでしょう。



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井上国際特許商標事務所では、意匠登録の手続の代行を承ります。これまでも、個人の事業者から大企業まで、さまざまな意匠登録を取り扱ってきました。


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