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「組物の意匠」とは?システムキッチンや工具セットを一括で権利化する制度
自社でセット商品や統一感のある製品群を開発・販売する際に、製品群全体を一つの意匠として保護できる「組物の意匠(くみもののいしょう)」という制度があります。これは、本来であれば個別に出願すべき複数の物品を、1つの意匠権としてまとめて登録できる仕組みです。 ここでは、システムキッチンや工具セットなどの具体的な製品例を交えながら「組物の意匠」制度について分かりやすく解説します。 「組物の意匠」とは? まず、意匠権を取得する際の基本原則と、その例外として設けられている「組物の意匠制度」の概要について解説します。 「一意匠一出願」の原則 人が創作したデザインを保護する意匠法には、「一意匠一出願の原則」があります。 これは、1つの出願書類につき1つの意匠(1つの物品等)しか記載してはならないという手続上の原則です。例えば、「テーブル1台」と「椅子1脚」は別々の物品であるため、原則として2件の出願が必要となります。 出典:意匠法第7条|e-GOV法令検索 「組物の意匠」の例外 「一意匠一出願の原則」に対する例外として定められているのが「組物の意匠」です。これは


防護標章登録とは?ブランドを広範囲で守るための制度
企業のブランド力が高まり、広く知られるようになると、自社の事業とかけ離れた分野でブランド名を模倣されたり悪用されたりするリスクも高まります。こうした事態からブランド価値を守るのに役立つ法制度が、防護標章(ぼうごひょうしょう)登録です。 ここでは、防護標章の基礎知識から、通常の商標との違い、登録要件、実務上の注意点まで分かりやすく解説します。 防護標章の基礎知識 防護標章登録は、通常の商標登録とは目的や保護範囲が異なります。まずは、防護標章の概要と目的、通常の商標との違いを確認しましょう。 防護標章とは 防護標章制度とは、既に広く認知されている自社の登録商標について、その商標の保護範囲の分野とは異なる商品・役務分野であっても他者に同一の標章を使われないよう、保護の範囲を広げる制度です。 出典:商標法第64条|e-GOV法令検索 防護標章の目的 防護標章の主な目的は、商品・サービスの出所混同を防止することです。 あるブランドが広く認知された後に、そのブランドとは無関係の分野で他者が同じブランド名を使って商品やサービス(役務)を展開した場合、消費者は「


用途発明とは?既存物質の新しい使い道を権利化する要件
公知の物質から新たな価値を生み出す「用途発明」は、企業の知財戦略において有力な選択肢となります。本記事では、用途発明とは何か、既存物質の新しい使い道を権利化して「用途特許」にするための要件と実務上のポイントを紹介します。 用途発明とは? 「用途発明」とは、すでに知られている公知の物質や組成物について、未知の属性を発見し、その属性に基づいて新たな用途への使用を見いだした発明のことです。物質そのものを新しく発明したわけではなく、その名のとおり「用途」の発見に本質があります。 用途発明と用途特許の違い 用途発明が特許庁の審査を通過して特許権として登録されると、一般に「用途特許」と呼ばれます。「用途特許」は特許法上の独立した種類を示す名称ではなく、用途発明に基づく特許を指す実務上の呼び方です。 その特許権者は、特許請求の範囲に記載された用途発明を実施する行為に対して、排他的権利を主張できるようになります。 用途発明の具体例 例えば、ある化学物質Xが、単なる着色のための染料として広く知られていたとします。ある日、研究者Aが、「Xには特定のがん細胞の増殖を抑


結合商標の類否判断とは?ロゴと文字が分離観察されるケース
ロゴマークとブランド名や企業名などの文字を組み合わせて出願する「結合商標」。 結合商標の類否判断では、商標全体を一つとして観察するのが原則ですが、一定の場合には、ロゴや文字などの一部を抽出して既存商標との類似性を判断する「分離観察」が行われます。そのため、結合商標全体としての印象が異なっていても、要部が他人の商標と類似すると判断され、商標登録が拒絶される可能性があります。 今回は、そんな結合商標の類否判断について、分かりやすく解説します。ロゴと文字が分離観察された実際の判例も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。 結合商標の類否判断の原則と例外 結合商標とは、複数の文字、図形、記号などが組み合わさった商標のことです。結合商標も商標である以上、商標登録の要件を満たす必要があります。そこで、すでに登録されている商標や周知商標との類否が問題となります(商標法第4条参照)。 出願商標と既存商標との類否は、次の外観・称呼・観念の3つの観点から判断されます。 外観:見た目の形や構成が似ているか。 称呼:発音したときの響き(読み方)が似ているか。...


発明の単一性とは?特許出願を一つにまとめるか分けるかの判断基準
特許出願における「発明の単一性」(特許法第37条)とは、2つ以上の発明を1つの願書でまとめて出願できる範囲を定めたルールです。 今回は、特許庁の審査基準を参考に、発明の単一性の基本的な考え方や、判断基準となる「特別な技術的特徴(STF)」、単一性違反を指摘された場合の対応について解説します。 発明の単一性とは 特許法第37条は、2つ以上の発明が「発明の単一性」の要件を満たす場合に、1つの願書で出願できることを定めています。 2つ以上の発明を1つの願書でまとめて出願できれば、次のようなメリットがあります。 コストと手間の削減(出願人側のメリット):発明ごとに別々に出願を出す必要がなくなるため、特許庁に支払う費用(印紙代)や、書類作成の手間・管理コストを大幅に抑えることができます。 技術情報の見やすさ(競合・第三者側のメリット):関連する技術が1つの特許公報として世の中に公開されるため、競合他社にとっても全体像を把握しやすくなります。 審査の効率化(特許庁側のメリット):特許庁の審査官も、関連するアイデアを一度にまとめてチェックできるため、審査の効率


選択発明とは?先行技術の範囲内から特定の条件を選び出す特許戦略
すでに世の中にある先行技術と同じ発明は、通常、特許として認められません。しかし、選択発明として検討できる場合には、公開されている広い範囲の特許技術から特定の条件や組み合わせを選び出すことで、新たな特許取得の可能性があります。 競合他社の特許を踏まえながら、自社の新技術を保護するための「選択発明」の概要と特許戦略を解説します。 選択発明とは? 選択発明とは、上位概念で表現された発明または広い数値範囲で表現された発明が先行技術として存在する場合に、その中から新規な下位概念又は狭い数値範囲を選択した発明を意味します。平たく言うと、すでに公開されている技術(先行技術)から、これまで具体的に開示されていなかった特定の要素や条件をピンポイントで選択した発明のことです。 選択発明は、化学・素材・医薬品などの分野でよく使われる手法です。ここでは、イメージしやすいよう、身近な例を示します(※あくまでイメージのための例であり、実際の特許とは異なります)。 仮に、A社が「コーヒー豆を100℃〜300℃で焙煎すると香ばしい飲料ができる」という特許をすでに有していたとしま


刊行物等提出書の提出方法とは? 特許の情報提供制度をわかりやすく解説
他者が出願した特許が自社ビジネスへの脅威になりそうなとき、特許が認められる前にできる対抗策が、「情報提供(刊行物等提出書)」です。 ここでは、特許の情報提供の意義から、刊行物等提出書の提出方法、実務に役立つポイントまでを解説します。 刊行物等提出書とは? 特許の情報提供制度の基本 まず、特許の情報提供の意義と第三者が情報提供を行う背景を紹介します。 刊行物等提出書による情報提供とは 特許の情報提供とは、特許庁で審査中の出願に対し、第三者が「この発明はすでに世の中にあるので、特許にするべきではない」という趣旨の情報を提供できる制度です。具体的には、「刊行物等提出書」に証拠となる資料を添えて、特許庁に提出します。 特許庁の審査官は、特許出願のあった発明に対して特許を認めるかどうかを審査します。もっとも、審査官が必ずしも世の中に存在しているすべての発明に関する情報を把握しているわけではありません。したがって、外部からの情報提供が、審査の精度を高めるうえで有益な材料となるのです。 刊行物等提出書が使われる場面 では、他者の特許出願に対して第三者が情報提供


間接侵害とは? 直接侵害との違いや成立するケースをわかりやすく解説
特許で保護されている製品そのものを製造・販売すると、当然ながら特許侵害となります。しかし、その製品を作るために不可欠な部品を無断で製造したり、侵害を助長するツールを販売したりすることも、「間接侵害」という形態の特許侵害になり得ます。 今回は特許の間接侵害について、具体的な事例を交えながら解説します。 間接侵害とは? 直接侵害との違い 特許の間接侵害とは、特許製品の製造・販売のような直接的な特許侵害ではないものの、直接侵害を引き起こしたり助長したりする可能性のある行為を、特許侵害とみなす制度です。 特許権の効力は本来、特許請求の範囲(クレーム)に記載されたすべての構成要件を備えたもののみに及びます。これは「オールエレメントルール」と呼ばれる考え方です。特許侵害についても、原則としてこのルールを前提に、発明の全構成要素を満たした物や方法を実施することが特許侵害となります。 しかし、例えば特許製品を構成する部品をセットで販売するような行為が特許侵害に当たらないとすると、脱法的な特許逃れが横行してしまいます。そのような事態を防ぎ、特許権者の利益を実質的に


商標の「不使用取消審判」とは?3年以上使われていない登録商標を消す方法
ネーミングやロゴを商標登録しようとしたら、すでに他社が商標登録してしまっていた。しかし、実際には使われていないようだ――。そのような場面で有効な手段となるのが、商標の「不使用取消審判」です。 今回は、そんな不使用取消審判について、制度の概要から認められるための要件、具体的な手続きの流れまで、わかりやすく解説します。 商標の不使用取消審判とは 商標の不使用取消審判は、商標法第50条に規定されている制度です。登録されている商標が一定期間使われていない場合に、その登録を取り消すことができるしくみで、商標登録原簿を整理し、円滑な商標利用を促すために設けられています。 まずは、この制度の目的と特徴を紹介します。 商標法と不使用取消審判制度の目的 商標制度は、「商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護する」(商標法第1条)ことを目的としています。したがって、あくまで「使用する」前提の商標のみを保護する制度です。 一方、使用されていない、いわゆる「眠れる商標」や「幽霊商標」が登録されたままだと、その商標


プロダクト・バイ・プロセス・クレーム(PBP)の要件とは?構造特定が困難な発明を守る請求項の実務ポイントを解説します
物の構造や特性によって発明を特定することが困難なとき、その製造方法によって物の発明を特定しようとするハイブリッドな請求項が、「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム(PBP)」です。 今回は、そんなPBPについて、基本概念から成立要件、技術分野ごとの該当例、さらには実務上の注意点まで、わかりやすく解説します。 プロダクト・バイ・プロセス・クレーム(PBP)とは 特許法では、発明は「物」「方法」「物を生産する方法」の3つに分類されます。そして、特許出願の際、特許として保護を求める権利の範囲を確定するために、「特許請求の範囲」に請求項(クレーム)を記載しなければなりません。 プロダクト・バイ・プロセス・クレーム(PBP)とは、「物」の発明について、その構造や特性によって直接特定することが困難な場合に、その物の「製造方法」によって特定しようとする請求項です。すなわち、「物」の発明でありながら「物を生産する方法」の記載形式を借用した、ハイブリッドなクレームといえます。 PBPの成立要件 PBP形式の請求項が認められるには、明確性要件(特許法第36条第6項第
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