ビジネスモデル特許とは? 期間や費用、事例を紹介します

更新日:6月20日



近年、「ビジネスモデル特許」という言葉を耳にするようになりましたが、具体的にビジネスモデル特許がどのようなものなのか、ご存じのない方も多いかも知れません。


ビジネスモデル特許という言葉は、法律上の用語ではなく、ビジネスに関する発明に与えられる特許のことです。では、どのような事例があり、取得にはどのような要件が求められるのでしょうか。


ここでは、ビジネスモデル特許とは何かを、事例を交えながら解説するとともに、取得にかかる期間や費用、事前調査の際の検索方法などを紹介していきます。



ビジネスモデル特許とは


ビジネスモデル特許は、特定のビジネスモデルを実現するために作られた、新たなITソフトウェア技術などの発明に与えられる特許です。


ビジネスモデルそのものに独占権を与えるものではありませんが、そのビジネスにおいて、必須となるコンピューターソフトウェアなどに特許を与えることで、間接的にビジネスモデルを独占できます。



ビジネスモデル特許の成功例


どのようなソフトウェアが、ビジネスモデル特許を取得しているのでしょうか。具体例をみていきましょう。



▼Amazon「ワンクリック特許」



画像引用:https://amazon-press.jp/


従来、ECサイトで商品を購入する際は、送付先の住所や支払い方法の入力を都度行う必要がありました。たまに利用するECサイトであればともかく、頻繁に利用しているECサイトで毎回こうした操作を行うことは、利用者にとって大変煩わしいものです。


それを解決したのが、Amazonの「ワンクリック特許」です。「今すぐ購入」などと書かれた購入ボタンをクリックすることで、文字通りワンクリックで注文が完了します。


また、同じユーザーが1日に何度もワンクリックで商品を購入した場合、別々に発送されるのではなく、自動で1配送にまとめてくれます。


この2つの機能により、ユーザーの利便性は著しく向上しました。一説によれば、ワンクリック特許は、Amazonに24億ドル(約2,815億円)もの利益をもたらしたと言われています。


  • 特許 4959817号

  • 特許権者:Amazon.com,Inc.

  • 出願日:1998年9月14日



▼TSUTAYA「レンタル商品返却システム」



出典:J-PlatPat


通常、CDやDVDなどをレンタルビデオ店でレンタルした場合、期限までに借りたものをお店に持参して返却します。それを、郵送で返却できるようにしたのが、TSUTAYAの「レンタル商品返却システム」です。


貸し出しの際に郵送で返却したい旨を申し出ると、専用のバッグが渡されます。利用者は、そのバッグに入れてポストに投函するだけで返却が完了します。返却期限については、返却予定日の午前8時までに郵便ポストへ投函すればよいものとされています。


返却日に投函されたことの確認は、日本郵便側が追跡システムの要領で、回収した日時をTSUTAYA側に知らせることで行っています。この部分が、ビジネスモデル特許として認められた技術です。


  • 特許 4854697号

  • 特許権者:カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

  • 出願日:2008年3月31日



▼いきなりステーキ「ステーキの提供システム」


出典:J-PlatPat


ひとりひとりが任意のグラム数でステーキを注文できることが特徴である「いきなりステーキ」。この注文~提供に至るシステムは、ITソフトウェアを用いていませんが、ビジネスモデル特許として認められためずらしい例です。


いきなりステーキでは、まずテーブルに案内されてテーブル番号が決まります。次に、テーブル備え付けの番号「札」を持参してカット場へ出向き、任意のグラム数を注文します。カットは専用の「計量機」を用いて行われ、カットした肉がどのお客様のものかわかるように「印し」をつけた状態で調理し、提供されます。


当初、この発明は特許として認められませんでした。特許が認められた後も、「札」「計量機」「印し」は単なる道具であり発明ではないとした第三者による異議申し立てがあり、取消される運びとなりました。しかし、その後の訴訟で、知財高裁が「他のお客様の肉との混同を防止する技術的手段であり発明として認められる」と判断し、特許が維持されました。


  • 特許 5946491号

  • 特許権者:株式会社ペッパーフードサービス

  • 出願日:2014年6月4日


ビジネスモデル特許が認められる要件


ビジネスに関する発明・アイデアが、ビジネスモデル特許として認められるための主な要件は、以下のようなものです。


  • 新規性があること

  • 進歩性があること

  • 先願であること


新規性とは、これまで世の中になかったものであることです。特許出願の時点で世に出ておらず、知られてもいないことが必要です。


進歩性とは、他者が容易に発明できる内容ではない内容かどうかということです。その業界の知識を有している人が、すでに知られている発明などに基づいて容易に発明できるものに進歩性は認められません。


そして、発明・アイデアを誰よりも先に特許出願することが大切です。特許の取得は早い者勝ちですから、特許を取得したい発明・アイデアは、1日も早くまとめ上げて出願しましょう。



ビジネスモデル特許を取得するメリット


ビジネスモデル特許を取得するメリットは、大きく2つあります。


他社に対する優位性の確保


ひとつは「他社に対する優位性」です。もし、他社が同様のビジネスモデルで参入してきても、そっくり真似をすることはできません。そのため、それ以上のアイデアを発明しない限り、サービスの品質やコストの面で不利になることが考えられます。


仮に、他社が別の方法で同レベルのサービスを実現できたとしても、その方法を作り上げるには、時間とコストがかかります。ビジネスモデル特許を持つ会社は、その間にもビジネスを広げていくことができ、店舗数や収益性でアドバンテージを築くことができるでしょう。



顧客・投資家・取引先企業への訴求力


ビジネスモデル特許を取得することで、顧客や取引先企業に対しアピールすることができます。顧客に対しては商品やサービスへの安心感を与えることができますし、取引先企業に対しては、独自性と将来性をアピールすることができるでしょう。


また、資金調達を狙っている企業の場合、ビジネスモデル特許を取得することが、投資家やベンチャーキャピタルに対する将来性のアピールになります。同業他社より優位な立場で運営できる企業であることは、投資する価値につながります。



ビジネスモデル特許の取得にかかる期間と費用


ビジネスモデル特許の取得にかかる期間や費用は、他の特許と変わりありません。ここでは基本的な方法を紹介しますが、こちらのページではより詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。



特許庁に支払う費用

特許を出願するとき、特許庁に対して以下の費用を印紙代として支払います。


  • 出願時 14,000円(非課税)

  • 審査請求時 138,000円+(4,000×請求項数)(非課税)


特許権の維持にかかる特許年金


特許は、維持に費用が必要です。これを一般的に「特許年金」や「年金」と呼びます。特許年金を支払わない場合は権利は失効となり消滅します。特許年金の費用は以下の通りです。


  • 第4年から第6年まで 毎年 10,300円+(800円×請求項の数)(非課税)

  • 第7年から第9年まで 毎年 24,800円+(1,900円×請求項の数)(非課税)

  • 第10年から第25年まで 毎年 59,400円+(4,600円×請求項の数)(非課税)



特許の取得に必要な期間


特許は、出願を行って3年以内に「審査請求」を行うことで、はじめて審査が開始されます。審査にかかる期間は、この審査請求から、平均して9ヶ月と9日ほどです。


審査を早める「早期審査依頼」という制度もあり、これを行うと、平均4ヶ月で審査結果を得られます。さらに短い期間で審査を行う「スーパー早期審査依頼」もあり、こちらは2ヶ月程度で審査が完了します。ただし、重要性の高い案件のみで利用できます。



ビジネスモデル特許の検索方法


ビジネスモデル特許を検討する際は、同様の特許がすでにないかを調査する必要があります。


自身で調査を行う場合は、独立行政法人 工業所有権情報・研修館(INPIT)の特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で調査するとよいでしょう。


「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」は、特許庁が公開しているデータベースで、登録されている特許の情報を確認することができます。


出典:特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)|独立行政法人 工業所有権情報・研修館



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