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NFTアートの著作権は誰のもの?NFT・デジタルグッズのIP保護と法的責任とは

  • 執筆者の写真: Eisuke Kurashima
    Eisuke Kurashima
  • 7月10日
  • 読了時間: 9分
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近年、デジタルアートなどの分野で注目を集めているNFT(Non Fungible Token:非代替性トークン)。このNFTを活用することで唯一無二のデジタル資産として取引されるNFTアートやデジタルグッズが今、新たな市場を形成しています。


一方で、NFTの急速な普及に伴い、デジタルアートやデジタルグッズのIP(知的財産)の保護や法的責任に関する問題が顕在化しています。今回は、そんなNFTを用いたデジタルコンテンツのIP保護と責任問題について解説します。



NFTとは?まず知っておきたい基本の仕組み


NFTとは、Non-Fungible Tokenの略語で、日本語では「非代替性トークン」と訳されます。


NFTは、ブロックチェーン技術を用いて、デジタルデータに唯一無二の価値と所有権を証明する仕組みです。それぞれのNFTは固有の識別情報(IDなど)を持ち、他のNFTと交換することができない「非代替性」を有しています。


NFTは、アート作品、デジタルグッズ(ゲーム内アイテムなど)、音楽など、さまざまなデジタルコンテンツに活用されています。例えばNFTアートは、NFTをデジタルアート作品と結びつけたものです。


NFTが登場したことで、これまで容易にコピー可能だったデジタルコンテンツに「一点もの」の希少性や固有性を付与できるようになりました。以下では、NFTアートに絞って解説します。



NFTアートとは?デジタル資産に「唯一無二」の価値がつく理由


NFTアートは、ブロックチェーン上に所有履歴が記録されるため、その真正性や来歴を証明しやすいという特徴があります。これにより、デジタル資産としてのNFTアートに、物理的なアート作品のような価値や取引可能性がもたらされました。


NFTアートの特徴は、以下のとおりです。


  • 唯一無二性・希少性: それぞれのNFTは識別情報が異なるため、「本物」としての区別が可能になります。

  • 所有権の明確化: ブロックチェーン上に取引履歴が記録されるため、誰がそのNFTを所有しているかが明確になります。

  • 移転可能性: インターネット上で容易に個人間取引(売買、譲渡)ができます。


これらの特徴から、NFTアートは単なる複製可能なデジタル画像や動画とは異なり、物理的なアート作品のように、所有やコレクションの対象となりうるデジタル資産として注目されるようになりました。


 

NFTアートとIP(知的財産権)|法律の基本ルール

NFTアートの取引をめぐり、次のようなIP(知的財産権)の保護が問題となっています。


NFTアートの「著作権」は誰のもの?

絵画、イラスト、写真、音楽、動画などの作品は、創作した時点で著作者に著作権が発生します。著作権には、例えば以下のような権利が含まれます。


  • 複製権:作品をコピーする権利

  • 公衆送信権:インターネットを通じて作品を公開する権利

  • 翻案権:作品を改変する権利


NFT化されたアート作品であっても、これらの著作権は原則として原著作者に帰属します。つまり、NFTを購入したとしても、著作権そのものがNFT購入者に移転するわけではありません。したがって、購入者がNFTアートを勝手に複製して配布したり、商業利用したりすることは、著作権侵害にあたる可能性があります。


ロゴやデザインも対象。注意すべき「商標権」と「意匠権」

NFTアートには、著作権以外にも商標権や意匠権といった知的財産権が関わります。


  • 商標権: 商標登録されたブランド名やロゴマークなどを保護する権利。人気キャラクターや企業ロゴをアートに使用する場合、商標権者の許可が必要とされることがあります。

  • 意匠権: 登録された物品のデザイン(形状、模様、色彩など)を保護する権利。NFTアートが物理的な物品と結びついている場合などに、意匠権が問題となる可能性があります。


これらの権利を侵害するNFTアートの作成や取引は、法的な問題を引き起こす可能性があります。特にIPホルダーが自社の商標や意匠権を活用してNFT事業を展開する場合は、その保護がデジタルコンテンツにも及んでいることが多々あります。t


NFTアートを作成・取引する際には、関わる可能性のあるさまざまな知的財産権に注意が必要です。 



なぜ起きる?IPホルダーを悩ませる権利侵害の4つの課題

NFTアートの台頭により、IPホルダー(原作者・企業など)の権利保護に次のような課題が浮上しています。


1.権利侵害の追跡困難性

デジタルデータは、容易にコピーされたり無断利用されたりしやすいという特徴があります。とくに、分散型ネットワーク上では侵害行為の追跡が困難になります。


2.海外事業者による侵害

デジタルデータの取引は、国境を越えた取引が一般的です。海外のプラットフォームや事業者による侵害が発生した場合、日本の法律による対応が困難になるという課題があります。


3.非公式な二次創作との線引き

デジタルアートの世界では、ファンアートなど権利者の許諾を得ていない非公式な二次創作がNFT化されるケースが多々あります。こうしたケースでは、どこまでを権利侵害とみなすか明確な判断が難しいという課題があります。


4.技術的な理解の欠如

原作者やIPホルダー側のNFTやブロックチェーン技術に関する理解が欠如していたり不十分であることが多く、自身の著作物がNFT化されることに対して適切な権利行使や保護対策が追い付かないという課題があります。


以上のように、NFTアート市場では、既存の著作物や他者の作品が無断でNFT化され、販売される権利侵害のリスクが潜んでいます。これは、著作物の原作者やIPホルダーである企業にとって深刻な問題です。



【立場別】NFTアート取引に関わる人の法的責任

NFTアートの取引には、関与する主体ごとにさまざまな法的責任が発生し得ます。


出品者(ミンター)の責任|他人の著作物の無断NFT化は違法?

NFTアートを出品(ミント)する者(ミンター)には、いくつかの重要な責任があります。

まず、出品するデジタルデータについて、自身が正当な権利者であるか、あるいは権利者から許諾を得ているかを確認する責任があります。


例えば、他者の作品やキャラクターを無断利用したり、既存のコンテンツを加工して出品したりする際には、他者の著作権を侵害していないか確認する必要があります。他者のIPを侵害するコンテンツをミントした場合、権利者に対する損害賠償責任や差止請求の対象となる可能性があります。


また、取引に関する情報開示義務違反を問われるケースもあります。NFTアートを出品する際には、作品の権利関係(二次創作か否かなど)を明確に示すことが重要です。

出品したNFTアートが意図しない形で利用された場合でも、出品者が権利侵害の責任を問われるケースが考えられます。出品者は、自身の行為が法的に問題ないか、プラットフォームの規約や著作権法などの関連法規を理解したうえで、十分に確認しましょう。


購入者の責任|買ったNFTアートを商用利用できる?

NFTアートの購入者も、そのデジタルアセットの利用に関して責任を負う場合があります。購入したNFTアートは、あくまで「所有権の証明書」のようなものにすぎず、通常は、元の著作物自体の著作権やその他の知的財産権は元の権利者に帰属します。


したがって、購入者がNFTアートを営利目的で複製・配布したり、元の作品を改変して公開したりした場合、損害賠償請求などの法的責任を問われるリスクがあります。


また、購入者は、NFTアートに付随する利用規約やライセンス条項を確認し、許諾された範囲内でのみ利用する責任があります。このため、NFTアートの利用範囲が元のIPホルダーや出品者によって定められたライセンスや規約を超えているような場合、権利侵害となる可能性があります。


NFTアートの購入にあたって、利用範囲などに不明な点があれば、出品者やプラットフォームに問い合わせることをおすすめします。


プラットフォームの責任|違法出品を放置するとどうなる?

NFTアートの取引が行われるプラットフォーム(マーケットプレイス)の提供者も、プラットフォーム上で違法なNFTアートが流通していることを知りながら放置した場合、プロバイダ責任制限法などに基づき、一定の条件下で責任を問われる可能性があります。また、取引に関するセキュリティ対策の不備なども責任の一因となることがあります。


プラットフォーム側は、利用規約やガイドラインで責任範囲を明確にするとともに、侵害報告窓口の設置や技術的な対策を講じなくてはなりません。その責任の範囲や程度については、今後の法解釈や判例の積み重ねにより明確になっていくと考えられます。


なお、プラットフォーム提供者の責任をめぐる主な論点としては、以下の点が挙げられます。


  • 侵害コンテンツへの対応: 権利者からの通知があった場合の削除・停止義務(プロバイダ責任制限法に準じた考え方)や利用規約違反に対する措置

  •  本人確認(KYC)や審査体制: 偽物出品などを防ぐための対策の不備

  •  システムのセキュリティ: ハッキング等による不正な取引やデータ漏洩


クリエイター・IPホルダーが行うべき権利侵害を防ぐ具体策

NFTアートを制作・販売するIPホルダーは、自身の権利保護やトラブル回避のために、以下の対策を講じましょう。


  • IPホルダーを明示する:利用規約やスマートコントラクト上で、著作権などのIPの保持者が誰であるかを明確に示すことが重要です。

  • 利用許諾の範囲を明示する:利用規約やスマートコントラクト上で、NFTアートの購入者がそのアートをどのように利用できるか、利用範囲を明示する。表示、複製、二次利用のどこまでを許諾するのか、また、個人的なコレクションの利用に留めるのか、SNSでの表示や商用利用を許諾するか否か、利用範囲を可能な限り具体化するとよいでしょう。


最後に、自身のNFTアートが侵害された場合の対応策を事前に検討しておくことも重要です。プラットフォームへの報告、法的措置の検討など、迅速に対応できる体制を整えておくことをおすすめします。


これらの対策を講じることで、IPホルダーやクリエイターは、NFTアート市場におけるIP侵害リスクを軽減しながら、安心して自身のNFTアートを展開できます。



まとめ

NFTアートのIP保護と責任問題については、各国で議論が深まりつつあります。今後、法的枠組みが整備され、技術的な課題も克服されるものと期待されていますが、一方で、市場の急速な拡大に法的整備が追いついていない現状があります。


NFTアート取引において自身のIPを侵害されないためにも、また、他者の権利を侵害しないためにも、知的財産権に関する最新のルールや議論の動向を注視していきましょう。


井上国際特許商標事務所には、知的財産に関する知見が豊富な弁理士が所属しています。NFTアートをはじめ、デジタルコンテンツをめぐるIPの問題にお悩みの方は、ぜひご相談ください。

 
 
 
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