意匠権とは? メリットや存続期間、検索方法などを紹介

更新日:6月20日



意匠権は、物品等のデザインに対して与えられる権利で、登録が認められると、そのデザインと同一または類似のデザインについて、製造・販売を独占できます。


では、意匠権を取得するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。また、意匠権はどのくらいの期間持続するものなのでしょうか。ここでは、意匠権の具体的なメリットや、その存続期間に加え、意匠権の例や、既に登録されている意匠を検索する方法などについて紹介します。



意匠権とは

意匠権とは、物品、建築物、画像などのデザインに対して与えられる独占的な権利のことです。意匠権により保護されるのは、全体のデザインと、特徴のある部分的なデザインです。


意匠権は、基本的に工業製品に与えられます。絵画や彫刻などの美術品や、盆栽などの自然物には与えられません。この点は、美術品にも与えられる著作権との違いです。



意匠権の効力と、取得するメリット

意匠権の効力は、登録されている意匠とまったく同じものだけでなく、類似したものにも及びます。そのため、第三者による模倣品・類似品を排除することが可能です。製品の模倣がされづらくなるため、自社製品のブランディングに役立ちます。


また、他者よりも先に意匠権を取得することで、他者が意匠権を取得して製品の製造・販売を行うことができなくなるのを防ぐことができます。


さらに、意匠権を与えられたという事実も、会社やブランドの信頼性向上に繋ります。これらが意匠権を取得するメリットです。



意匠権を侵害されたときに何ができるか

意匠権を侵害されたとき、意匠権者が行使できる権利には、「差止請求権」「損害賠償請求権」などがあり、具体的に以下のようなことができます。


  • 製造中の模倣品と、模倣品の在庫の強制的な廃棄

  • 模倣品の製造・販売、及び、宣伝の停止

  • 模倣品の販売によってこうむった損害の賠償請求


こうした強い権利が与えられるため、意匠権を第三者が意図的に侵害することは限りなく少なくなります。


意匠権の存続期間

意匠権の存続期間は、意匠登録出願の日から最長で25年です。意匠権を存続させるためには、権利を維持するための「登録料」が毎年かかります。


【意匠権の存続のためにかかる登録料】

  • 第1年から第3年まで 毎年 8,500円(非課税)

  • 第4年から第25年まで 毎年 16,900円(非課税)


登録料を支払わない場合、意匠権は失効となり消滅します。



なお、令和2年3月と平成19年3月に存続期間が変更されています。該当の期間に出願したものは、以下の通りの期間になります。25年より短いため注意が必要です。


  • 平成19年4月1日から令和2年3月31日までに出願した意匠権は最長で登録から20年

  • 平成19年3月31日以前に出願した意匠権は最長で登録から15年


意匠登録されている物品の例

意匠権が与えられている物品の例として、以下のようなものがあります。


【意匠登録されている物の例】

  • 文房具

  • 照明器具

  • お菓子のパッケージ

  • ねじ

  • デジタル家電

  • 包装容器   など


以下の図は、意匠権で保護された物品のデザインを、日本意匠分類毎に表示したグラフです。また、グラフの比率は、2019年の意匠登録出願件数に合わせたものになっています。

出典:意匠権で保護される身の回りの製品デザインの例|特許庁



意匠登録の実例

意匠権を与えられた物品や建築物の実例を紹介します。


物品の例:Apple Air Pods

意匠登録第1585727号

意匠登録第1585850号


デザインが特徴的な、Appleのイヤホン「AirPods」も意匠登録がされています。AirPodsの場合、全体のデザインを意匠登録したうえで、さらに、装着時に耳から出ている先端部分、いわゆる「うどん」の部分のみを、別途部分的に意匠登録しているのが特徴です。


敢えて、先端部分だけを部分意匠として別途登録したのは、この部分を巧妙に模倣した商品を市場から排除したいからに他なりません。AirPodsを装着したときに周りの人から見える、いわゆる「うどん」と呼ばれる部分こそが、AirPodsでもっとも特徴的な部分であり、ブランディングにも重要な要素であるとAppleが考えたためと考えられます。



食品の例:やわもちアイス(井村屋)

意匠登録第1571832号


食品の意匠登録も可能です。井村屋のやわもちアイスは、容器の中の冷菓(アイス)の上部にあん部材の層があり、その上に5つのもち部材が放射状に並びます。


当初、容器と中身は別の意匠であるとして、意匠登録は認められませんでした。しかし、後に知的財産高等裁判所が、冷菓の部分が容器から独立することはなく、冷菓と容器が合わさってひとつの意匠であると判断し、意匠登録に至っています。


やわもちアイスは、その製造方法についても特許(特許第5931783号)となっている他、ロゴマークについても商標登録(商標登録第5554751号)を行っています。食品のブランディングにおける好例のひとつです。



建築物の例:ゼロ動線病棟(三菱地所設計)

意匠登録第1672637号


2020年の意匠法改正により、建築物の意匠登録が認められるようになりました。その。登録第一号のひとつが「ゼロ動線病棟」です。中央にナースステーションなどスタッフの常駐エリアを配置し、それを取り囲むように病室を配置することで、医療者の看護導線を「ゼロ」にしています。


病室の周りには縁側廊下をぐるりと配置し、ここは患者とその家族専用の導線に。病室には大型の窓を設け、採光を確保しています。画一化しやすい病棟の平面設計において、「採光計画及び平面計画に意匠上の特徴がある」として、新規性が認められました。



意匠調査をする際の検索方法

意匠登録を行う前に、既に類似の意匠が登録されていないか調査することを「先行意匠調査」といいます。類似のデザインが既に登録されている場合、後からの意匠登録はできないため、先行調査は重要です。


また、知らずに類似したデザインの製品を販売してしまうと意匠権の侵害になります。そういった観点からも、意匠調査はとても重要です。


調査は、インターネットから可能です。その場合は、独立行政法人 工業所有権情報・研修館(INPIT)の「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を利用します。


意匠調査の詳しい方法は、コチラの記事をご覧ください。



意匠登録にかかる費用

意匠登録をする場合、特許庁への出願時と登録時にそれぞれ費用がかかります。また、意匠権を維持するための登録料も毎年必要です。


意匠登録を自力で行うのではなく、特許事務所に依頼する場合は、そのための費用が別途必要になります。


意匠登録にかかる費用の詳細については、コチラの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。



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