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ゲームIPを守り、ファン文化を育てる。二次創作ガイドラインとこれからの知財戦略

  • 執筆者の写真: Eisuke Kurashima
    Eisuke Kurashima
  • 2 日前
  • 読了時間: 7分

ファンによる二次創作は、ゲーム作品の魅力を広げ、コミュニティを活性化させる重要な文化として定着しています。一方で、デジタル化やグローバル展開の進展により、IP(知的財産)侵害リスクも顕在化しています。


今回は、主要メーカーの二次創作ガイドラインの動向を踏まえながら、ゲーム業界における二次創作とIP保護の現状、そして企業・クリエイター双方に求められる実務と注意点を紹介します。



なぜ今、二次創作ガイドラインが必要なのか?

ゲーム業界では、ファンによる二次創作が、作品世界の広がりやコミュニティの活性化に寄与してきました。イラストや動画、同人活動を通じて作品への愛着が深まり、新規ユーザーの獲得や長期的な人気維持につながる点は、大きなポジティブ要素です。


一方で、デジタル配信やグローバル展開が進む昨今、無断利用や権利侵害を伴うコンテンツの拡大が問題となっています。このためゲーム業界は、ブランド価値や収益機会を維持するために、どのような二次創作を許容するかを明示するガイドライン策定の必要性に迫られています。



「許容範囲」はどこまで? 主要ゲームメーカーに見るガイドライン運用の実態


主要ゲームメーカーの二次創作ガイドラインは、それぞれ異なるスタンスで整備・運用されています。


任天堂のガイドライン 

任天堂は「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」を公開し、個人クリエイターによるゲーム映像などの利用を許諾しています。その一方で、明確に公式と混同されないことなど、著作権の保護も重視しています。


このガイドラインは、個人が「YouTube パートナープログラム」などの収益化プラットフォームを通じて収益を得ることを明示的に認めた点で、先駆的なものとされています。



カプコンのガイドライン

カプコンは2025年10月に「二次創作ガイドライン」を公開し、イラストやゲーム、小説など幅広い創作を対象に、転載禁止・公序良俗の遵守・公式作品との混同回避などのルールを明示しました。


また、営利目的の利用も、趣味の範囲(同人誌など)かつ少量・少額であれば例外的に許容する姿勢を示しています。



セガのガイドライン

セガは、「龍が如く」シリーズや「ペルソナ」シリーズなど、作品ごとに詳細なガイドラインを設けています。また、「ゲームプレイ映像利用に関するガイドライン」などにおいて、非営利かつ指定された範囲内での利用を前提に配信・投稿を認めています。


2021年の改定では、個人によるYouTube等の広告収益化も明示的に認められました。しかしその一方で、直接的な商用利用や不適切な内容を含む投稿は禁止されています。




ゲームの世界観を守る4つの権利|著作権・商標権・特許権・意匠権の活用法


ゲーム業界におけるIPとは

ゲーム業界におけるIP(知的財産)とは、ゲームを構成する創作要素に関する権利全般を指します。


具体的には、ゲームのキャラクター、作品世界を形づくるストーリー設定、印象的な音楽や効果音、背景やUIを含むビジュアルデザインなどが挙げられます。


これらはブランド価値の源泉であり、シリーズ展開や映像化、グッズ化を支える重要な資産です。

知的財産権の種類とゲーム業界での適用

ゲーム業界におけるIP(以下、ゲームIP)は、複数の知的財産権を組み合わせることで多層的に保護されています。代表的な例は次のとおりです。


  • 著作権:ゲームソフトそのものに加え、キャラクター、シナリオ、音楽、映像表現などを保護。無断配信や複製、改変に対して権利行使が可能。

  • 商標権:ゲームタイトル名やロゴ、シリーズ名を保護し、類似名称による混同や便乗ビジネスを防止。

  • 特許権:ゲームメカニクス(キャラクターの捕獲システムなど)や、独自の操作技術を保護。

  • 意匠権:キャラクターの外観やコントローラー形状など、デザイン面を保護し、見た目の模倣を抑制。


ゲーム会社は、これらの知的財産権を適切に使い分けることで、ゲームIPの保護を図っています。



安全に活動するために。二次創作で「やってはいけない」ラインとマナー


二次創作は、ゲームIPをめぐるルールの理解と慎重な発信があってこそ、持続できる文化です。二次創作を行う際は、IP侵害やガイドライン違反をしないよう、細心の注意を払いましょう。


ガイドライン遵守のポイント

多くの企業は、非営利目的を前提に二次創作を許容しており、例外的な場合を除いて営利目的での利用を禁じています。二次創作コンテンツの販売、スーパーチャット等の収益機能、広告収益など、収益化の可否と範囲については、必ず確認しておきましょう。


また、過度な暴力・差別的表現・成人向け表現など、公序良俗に反する表現についても禁じられています。


さらには、商標(ロゴやネーミング)の無断使用などは、ガイドラインの有無に関わらず、知的財産権侵害の観点から禁じられています。ロゴなどの直接的な使用がない場合でも、ゲーム動画をそのまま使用するなど公式と誤認される使い方は、多くのガイドラインで禁じられています。 


AIやSNSの利用上の注意

AIで生成された創作物は、AIの学習元や生成物の権利関係が不明確な場合、意図せずゲームIPを侵害してしまうリスクがあります。各企業のガイドラインや事例を調査したうえで、ゲームIPを侵害する可能性のある生成AIの利用は控えましょう。


また、拡散力の高いSNSでの発信にも、注意が必要です。SNSで二次創作物を発表する際には、各企業のガイドラインを確認するとともに、出典や「非公式である」旨を明示するなど、IP侵害とならない方法で発信しましょう。


IP侵害のリスク

二次創作物がIP侵害を伴うコンテンツとみなされた場合は、ゲーム会社のブランド価値を損なうだけでなく、二次創作者自身も、差止めや損害賠償といったリスクを負います。


二次創作者には、正規品との違いを意識し、怪しい素材やデータを使わない姿勢、問題が指摘された場合は速やかに公開停止・修正する姿勢が求められます。



「守る」だけではないIP戦略。ファンと共にブランドを育てるために


ゲーム業界の知的財産実務には、単なる権利保護にとどまらず、IPをいかに育て、活かし続けるかという視点が求められます。


積極的なIP活用と保護の両立

ゲームIPを保有する企業は、積極的にIPを活用するとともに、その価値を適切に保護しなくてはなりません。


IPの活用においては、キャラクターや世界観を軸に、ゲーム展開だけでなく、映像化、イベント、グッズ、コラボレーションなどに拡張することが考えられます。二次創作の盛り上がりは、こうしたIP活用を後押ししてくれる重要な要素です。


一方で、無断利用や模倣品によってブランド価値が毀損されるリスクにも常に向き合わなければなりません。そのため、著作権・商標権・特許権・意匠権を組み合わせた立体的な権利設計と、状況に応じた権利行使が不可欠となります。


法務部門や専門家の重要性

さまざまな種類の知的財産権を駆使して戦略的にゲームIP保護を図るには、IP実務に通じた法務部門や専門家の助言が重要な役割を担っています。


とりわけ、デジタル配信やAI生成コンテンツが普及する現在、ゲーム業界の現状を踏まえた柔軟な判断力と最新動向への理解も欠かせません。法務部と事業部門が連携しながら、二次創作ガイドラインの策定やライセンス設計、海外展開時の権利管理などを通じて、ゲームIPの活用と保護の両立を図りましょう。



まとめ

ゲーム業界では、二次創作を通じたファンとの共創と、IP価値を守るための権利保護を、いかに両立させるかが大きな課題です。企業は知的財産権を戦略的に活用し、明確なガイドラインと実務体制を整える必要があります。


同時に、プレイヤーやクリエイターも、ルールやマナーを正しく理解し、健全な創作活動に留意しなくてはなりません。ゲームIPと創作文化の持続的な発展のために、適切なガイドラインの策定とその遵守が重要です。


井上国際特許商標事務所には、知的財産権に関する知見が豊富な弁理士が所属しています。ゲーム業界の二次創作やガイドライン策定、IP保護にお悩みの方は、ぜひご相談ください。


 
 
 
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