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意匠図面とは? 書き方やサイズなど作成方法を図解で解説

更新日:8月7日

物のデザインを保護する意匠権。その意匠登録を出願する際には、「意匠図面」を提出するのが一般的です。


意匠図面とは、立体の物を平面の図面で表す方法で、保護対象となるデザインの形状を示す図面です。ここでは、意匠図面の意義と役割、意匠図面の記載内容から作成における注意点までを紹介します。



意匠図面とは?


意匠図面とは、意匠登録したい意匠(デザイン)の形状を平面の図面で表したものです。意匠登録の出願書類として、願書とともに提出します。


意匠登録の可否を審査するには、そもそもの審査対象となる意匠を特定する必要があります。


出願の際、審査対象となる意匠の形態を特定するには、図面や写真を用います。一部の物品は、例外的に見本やひな形で意匠の形状を表せますが、原則は意匠図面によって表します。立体の物品を見ていない審査官が、願書と意匠図面から意匠の形状を把握し、意匠権を認めるかどうかを判断しなくてはなりません。


また、意匠登録後は、意匠権者がその意匠を独占的に使用できるようになります。これはつまり、第三者がその意匠を模倣できなくなるということです。したがって、「どのような形状の意匠を真似してはいけないのか」が、第三者にも明示されている必要があります。


このように、意匠登録の審査対象を特定し、登録された意匠を第三者に明示することが、意匠図面の役割です。



意匠図面の記載内容


【基本となる6面図】

<上段左から、正面図、背面図、右側面図、下段左から、左側面図、平面図、底面図>


意匠図面にはまず、6つの基本図面を記載します。基本となる6図面は、立体の物品を、それぞれ前、後ろ、右、左、上、下から見たときの形状を示したものです。


▼基本となる6図面

  • 正面図

  • 背面図

  • 右側面図

  • 左側面図

  • 平面図

  • 底面図


ここでは、「化粧品用容器 意匠登録第1727644号」を例に図面を見ていきます


【その他の意匠図面】全体像が把握しづらい場合に必要

<左から、斜視図、A-A断面図、B-B断面図>


基本6図面だけでは全体像を把握しにくい意匠に関しては、「斜視図」、「断面図」、「拡大図」なども記載します。


【参考図】意匠の理解を助ける

<左から、キャップを分離した状態の参考正面図、参考右側面図、参考斜視図>


さらには、意匠の理解を助けるために、「透明部を示す参考図」「使用状態を示す参考図」などを記載することもできます。



意匠図面を作成する際の注意点


意匠図面のサイズ・書き方のルールを守る

意匠図面には、サイズや縮尺などのルールが定められています。


サイズは「各図が横150mm、縦113mmに収まること」とされています。また、「正投影図法(※1)の同一縮尺で作成すること」といったルールも定められています。


また、線の太さに関してもルールがあり、「実線及び破線は約0.4mm」「切断面を表す平行斜線及び鎖線は約0.2mm」などと決められています。


※1 正投影図法は、三次元の物体を二次元の図面上に表現するための方法の1つで、複数の投影面(正面図、平面図、右側面図、左側面図、背面図、下面図)を用いて物体の形状を正確に表現することが特徴。工業製品の図面に広く使用される。


詳細に記載しすぎないよう注意する

冒頭で触れたとおり、意匠図面には審査対象を特定する役割があります。また、意匠登録の対象となる意匠が、第三者に対しても明確に示されなくてはなりません。


よって、意匠図面を作成する際は、願書と意匠図面から「その意匠の物品が何で、どのように使用されるのか」を具体的に特定できるよう注意しましょう。特定が不十分だと、意匠図面の不備として補正を求められたり、出願が拒絶されたりしてしまいます。


一方で、意匠図面を詳細に記載しすぎることにも注意が必要です。なぜなら、公開された意匠図面を参考にした第三者が、類似のデザインを用いるおそれがあるためです。意匠図面の記載は、あくまで意匠登録に必要な範囲にとどめるようにしましょう。


専門的な知識と経験が必要。専門家への依頼も視野に入れる

「どのような意匠図面を作成すれば特定が十分といえるか」、あるいは「どの程度の記載であれば類似デザインを防げるか」。そのバランスを適切に判断するには、意匠登録手続きの専門知識と経験が求められます。


専門家に依頼すると、費用はかかるものの、スムーズに意匠登録を完了できます。ぜひ、依頼を検討してみてください。


なお、こちらの記事では意匠登録にかかる費用についてまとめています。合わせてご覧ください。


まとめ


今回は、意匠図面の役割から記載内容、注意点までを解説してきました。基本6図面に加えて、意匠図面に何をどこまで記載すべきかの判断は、個々の案件によって異なります。スムーズに意匠登録手続きを進めるには、専門家への依頼をおすすめします。


井上国際特許商標事務所では、リーズナブルな費用で、意匠登録の手続き代行を承っています。迅速な意匠登録をご希望の方は、ぜひ一度、ご相談ください。


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