top of page

商標権・特許権の譲渡とは?手続きの流れと注意点を解説

1 時間前
読了時間: 5分

企業のM&Aや事業再編、知的財産権の売買などに伴い、保有する商標権や特許権を他者へ移転することがあります。


ここでは、商標および特許の譲渡に関する基本的な定義から、具体的な手続きの流れ、実務上の注意点までをわかりやすく解説します。



商標や特許の「譲渡」とは?


商標や特許の「譲渡」とは、特許権や商標権といった権利の主体(権利者)を、契約などによって別の企業や個人に変更することを指します。


特許権の移転については、特許法第98条第1項第1号により、原則として特許庁の登録が効力発生要件とされています。商標権についても、商標法第35条により特許法第98条等が準用されています。


したがって、商標・特許の譲渡はいずれも、原則として契約を締結しただけでは権利移転の効力は生じず、特許庁の登録原簿への登録が必要となります(合併・相続・会社分割による「一般承継」の場合は除きます)。



譲渡手続きが必要とされる主な場面


商標や特許の譲渡は、例えば次のような場面で発生します。


  • 企業のM&Aや事業譲渡:事業の買収に伴い、関連する特許や商標をまとめて引き継ぐ場合

  • 知的財産権の売買など:自社で使用しなくなった特許権や商標権を、契約により他者に有償または無償で譲渡する場合

  • グループ会社間の組織再編:持株会社制への移行やグループ内での資産整理などで、特許権や商標権の移転が発生する場合


なお、会社分割・合併・相続による権利の移転は「一般承継」と呼ばれ、契約による譲渡などの「特定承継」と区別されます。ここでは、後者の「特定承継」の手続きの流れにフォーカスして解説します。



商標の譲渡手続きの流れ


商標権の譲渡手続きの一般的な流れは、以下の通りです。


①譲渡契約の締結

当事者間で、商標権の譲渡に関する契約(譲渡契約書)を締結します。譲渡契約書には、登録番号や対象となる指定商品・指定役務を明確に記載します。また、譲渡条件や対価、契約期間や支払期日なども詳細に定めておくことで、後の紛争予防につながります。


②申請書類の作成

「商標権移転登録申請書」を作成します。移転登録申請は、譲渡人と譲受人による共同申請が原則です。ただし、登録義務者の単独申請承諾書や認証のある譲渡契約書の謄本・抄本といった書類を添付することで、譲受人などによる単独申請が認められる場合があります。


③特許庁への申請

特許庁へ登録申請を行います。移転登録申請は、郵送または窓口による書面提出ができるほか、一部書類を除き、インターネット出願ソフトによる電子申請も可能です。このとき、収入印紙(書面申請の場合)または電子納付(オンライン申請の場合)の方法によって登録免許税を納付します。


④特許庁による審査および譲渡完了

特許庁による方式上の確認などを経て申請が受理され、商標原簿に権利の移転が登録されれば、譲渡が完了します。



特許の譲渡手続きの流れ


特許権の移転登録も、基本的な流れは商標と共通しています。


① 譲渡契約の締結

特許番号、発明の名称、対象範囲を確認したうえで、譲渡契約を締結します。ここでも、譲渡条件をはじめとする契約の詳細を定めておくことが重要です。


② 登録原因証明書類の準備

譲渡証書など、権利移転を証明する書類を準備します。必要に応じて、印鑑証明書などの書類が求められる場合があります。また、共有特許の持分を第三者に譲渡する場合は、他の共有者の同意が必要です。


③ 特許庁への移転登録申請

「特許権移転登録申請書」に必要書類を添付して、特許庁長官宛に提出します。申請時に、収入印紙(書面申請の場合)または電子納付(オンライン申請の場合)の方法によって登録免許税を納付します。


④ 特許原簿への記載および譲渡完了

申請に不備がなければ、特許原簿への登録が完了し、手続きは終了です。



商標や特許の譲渡手続きに関する注意点


登録を怠った場合のリスク

譲渡契約を締結しただけでは移転の効力は生じません。契約締結後、速やかに移転登録を申請できるよう準備しておきましょう。


商標の分離移転・分割移転に注意

商標権は、指定商品・指定役務の一部を分割して移転できます。類似商標の分離移転も可能ですが、移転後に出所の混同を生じさせないよう注意が必要です。


移転の結果、類似する商標権が異なる権利者に属することで商品の品質誤認や出所の混同を生じさせるような場合には、商標法上の制限や取消し等の制度が関係するため、移転前によく確認しておきましょう。


職務発明や共有特許の確認

特許については、職務発明に関する社内規程や契約などを確認し、特許を受ける権利が適切に使用者に帰属しているかを確かめます。


また、発明者に認められる「相当の金銭その他の経済上の利益」についても確認が必要です。共有特許の持分を譲渡する場合には、他の共有者の同意を得なければなりません。



まとめ

商標や特許の「譲渡」は、単なる当事者間の契約にとどまらず、特許庁への正確な登録申請を行って初めて完結する手続きです。


とくに、事業の根幹に関わる重要な知的財産を動かす場合、契約書の不備や登録手続きの遅れは、後々の大きなトラブルにつながりかねません。契約締結前から登録完了まで、抜かりなく手続きを進めましょう。


井上国際特許商標事務所では、譲渡契約書のリーガルチェックから、特許庁への複雑な移転登録申請まで、スムーズな知財移転をトータルでサポートします。お気軽にご相談ください。




 
 
 

コメント


iStock-1064058754.jpg

専門家による
無料相談実施中

お気軽にお問い合わせください

03-5816-1570

受付時間:平日10:30~17:00

オフィスの廊下
弁理士法人
井上国際特許商標事務所

〒110-0016 東京都台東区台東4-7-6新星ビル2階

電 話: 03-5816-1570

設 立: 1996年

所員数: 8名(うち弁理士6名)

営業時間: 平日10:30~17:00

security_action_logo.jpg
オフィスの廊下

弁理士法人 井上国際特許商標事務所

bottom of page